■サントラ概要1990年にスクウェアからファミコンで発売されたRPG「ファイナルファンタジーIII」のオリジナルゲーム音源のサントラです。全44トラックの収録です。
ファイナルファンタジーIII(以下、FF3)は、言わずと知れたFFシリーズの第3作目にして、ファミコンで出た最後のFFシリーズのソフトです。多数のジョブや乗り物など、非常に盛りだくさんの内容のゲームでした。
「ファイナルファンタジーIII 悠久の風伝説」の記事でも書きましたが、ファミコンオリジナル音源のサントラは、アレンジ版サントラである「悠久の風邪伝説」の発売からずっと遅れて発売されました。さらに言うなら、
FF4のサントラよりも発売が後なのです。サントラのライナーノーツにも
「ファンの方の支援があってなんとか発売することができた」という旨が記載されています。FF3ほどの有名ゲームでも、タイミングなどの理由でサントラが出せない、ってこともあるんですね。
FF3の作曲は
植松伸夫さん。スクウェア系作品の作曲家として、敢えていう必要も無いほどの有名人です。
サントラ収録状態について、大体の曲は2ループ収録されており、じっくりと曲を堪能することが出来ます。
パッケージデザインは、FF3のタイトルロゴのみの超シンプルデザインです。
CDのラベル面も、FF3の文字のみのデザインです。
(スクウェアサントラということで、やっぱりパッケージに収録曲情報を何も書いてくれていません。デザイン的なこだわりもあるんでしょうが、「何も情報がなくてもFFファンは盲目的にサントラを買ってくれるでしょ?」的なものを感じてしまいます。私の被害妄想か?)
■曲の感想まず曲数が47曲もあり、FF1の20曲、FF2の27曲に比べてずっと多いです。実感としてもFF3からが大作RPG化のスタートだった気がするので、
音楽面でもそれまでのシリーズより力が入っているように思います(例えば、FF2はラスボス専用曲はなかったですし)。
また、FF3が発売された1990年は、11月にスーパーファミコンが発売された年でもあり、ファミコン音源の使いこなしについて円熟期に入っていた時代でした。ファミコン音源の表現が限界を迎えつつあった時代、とも言えるかもしれませんが。
そのような時代背景のもとで誕生したFF3音楽は、
「印象的なメロディーの宝庫」と言っていいと思います。
ストーリー重視のゲームであるFFを盛り上げるための音楽が必要だが、ファミコン音源での表現では限界がある。ならば、メロディーで勝負だ!みたいな感じです。
※ドラクエ音楽は、オーケストラ演奏される楽曲をイメージしてそれをファミコンの三和音で表現する、という作り方だったはずです。ゲームによって色々な作曲の方法論がありますね。
個人的にはファミコン時代のFFの音楽は、街とか村とかフィールドの優しい音楽が非常に印象的だと思っています。もちろんハイテンションなバトルシーンの音楽は一番記憶に残っているのですが、癒されるようなゆったりとした音楽が多いのもFF音楽の魅力ではないでしょうか。
いいメロディーが多いとは言いつつ、
やはりファミコンだと音源的に苦しいところが見え隠れします。戦闘シーンの曲「バトル1」、「バトル2」で聞こえる「ンタ、ンタ、ンタ」という裏打ちでリズムを刻んでいる部分なんかは、無理やり作り出した音でいかにも苦しそうな感じです。
次世代機であるスーパーファミコンへの移行は、FF音楽的(植松伸夫さん的)には待ったなしの状況だったんじゃないでしょうか。
というわけで、
「三和音での限界に挑戦した、ファミコン系ファイナルファンタジー音楽の集大成」としてすごく価値があり、かつ期待に応える魅力ある楽曲も多いサントラではないでしょうか。
ちなみに、ファミコン音源の限界に際して、「ROMカセットに特殊チップを搭載して音色を豊かにする」という手法で限界突破したメーカーもあります(コナミが有名ですが、サンソフト、ナムコなども)。
ファミコンの三和音で頑張るのと、どちらが優れていると論じるわけではないですが、音源に制約のある状態だからこそいろいろな工夫での差別化があったんだなあと思います。
■オレを信じてこれを聴け!ファミコン音源でもこれだけの表現ができるんだ、という驚きがあります。
3.バトル1~ファンファーレ・通常戦闘曲~バトル終了後のファンファーレがまとめて1曲になっています。
・このイントロ部分が昔のFFの戦闘シーンの定番でした。
・かなりスピード感があるバトルミュージックです。
5.オープニング・テーマ・ゲームを少し進めないと出てこないオープニングでの音楽です。
・曲の名称こそ違いますが、FFのテーマです。
・ファミコン音源ならではのシンプルな良さがあります。
6.故郷の街ウル・街(ウル)などでながれるゆったりとした曲です。
・このような優しい音楽が多いのがFF音楽のいいところだと思うのです。
7.悠久の風・フィールドで流れるFF3を代表する曲です。
・イントロこそ厳しい曲調ですが、その後のメロディーが非常に綺麗です。
10.勇者の帰還・事件が解決したときに流れる勇ましい曲です。
・達成感、充実感がある曲だと思います。
16.古代人の村・古代人の村の曲、ということで街・村系の音楽です。
・古代人感(?)はないかもしれませんが、ゆったりとして癒されます。
17.チョコボのテーマ・お馴染みチョコボに乗った時に流れるテーマソングです。
・FF2から登場のチョコボですが、FF3から音楽がフルコーラスになりました。
18.でぶチョコボあらわる・後のシリーズでも使われるでぶチョコボのテーマの初出です。
・イントロからメインフレーズまでとぼけた雰囲気で楽しげ。
21.ハインの城・文字通りハインの城で流れる緊張感がある曲です。
・前半は特徴が薄めですが、後半部分のメロディーが聞き所です。
22.バトル2・中ボス戦で流れるバトルミュージックです。
・かなりノリノリでテンポがいいです。
・テンポが良すぎて緊張感より陽気さも少し感じてしまう。
23.レクイエム・ゲームオーバー時や悲しいシーンで流れる音楽です。1ループちょいの収録。
・非常に短いですが、残念な感じがよく表現されています。
25.果てしなき大海原・一面の大海原をさまようシーンで流れる寂しい曲です。
オススメ!・綺麗な音色とメロディーで不安感が一層際立ちます。
32.隠れ村ファルガバード・隠れ村というだけあって寂しげな雰囲気のある曲です。1ループの収録。
・街・村系の音楽なのですが、癒される感じではなく不安な感じ。
41.クリスタルタワー・ラストダンジョンpart1の曲。長時間聞いた人も多いはず。
・勇ましさと緊張感が同居したカッコイイ曲だと思います。
42.闇のクリスタル・ラストダンジョンpart2の曲。いよいよクライマックスという感じ。
・曲前半の悲壮感と曲後半の希望感という2段階構成みたいな感じ。
43.最後の死闘・ラスボスとの会話~ラスボス戦をまとめて1曲で収録。
・会話シーンのところは非常にオドロオドロしくて不安が高まります。
・戦闘シーン曲はテンポが非常に早くて盛り上がりまくります。
■補足情報・このサントラを入手しようと思った場合、ネットでは中古品でも定価を超えた価格のようです。2004年に再販もかかっているのですが、流通数は少なめなのでしょうか?というわけで、入手難易度はランクSとしました。

・FF3のオリジナルゲーム音源のサントラはitunesで配信されています。
FINAL FANTASY III (Original Soundtrack)
- 関連記事
-